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第41話 甘えを許す穏やかな視線

last update Last Updated: 2025-12-24 09:30:21

 それから暫くして──三冊の本を抱えて彼は戻り「テーブルの方に行こう」と促した。

 そうして、彼は一冊ずつテーブルの上に本を置く。どれも表紙が煤けた古ぼけた本だった。それも割と厚みがなく薄いものばかり。

「昔の貴族の娘が綴った伝記とか、架空の恋愛物語。あとは詩集。女の子の好みそうなのってこのあたりかなぁと。好みに合えばいいんだけどね。文体も堅苦しくないし、短いやつ選んだから結構読みやすいと思うよぉ?」

 読みやすいものを。そんな配慮をしてくれると思わなかった。

 思ったことを包み隠さず言う悪癖──と、本人も言ったが、こういう部分を見ると、やはり彼には気遣いの心があると窺える。

「ありがとうございます。読んでみます」

 イルゼが当たり前のように礼を言い、本をひとまとめにしようとしたと同時だった。手と手が触れ合い、そのままきゅっと彼に手を握られてしまった。

 一拍置いて、遠くから柱時計の鐘の音が聞こえてきた。

 突然何か……。イルゼは驚いて目を丸くすると、彼はヘラッとした笑みを見せる。

「そうそう。すっかり忘れてたけど……昼になるからね。お礼を言いつつ、飯だってイルゼを呼んでこようって思って来たんだったわ。本は部屋まで俺が運んでやるから、部屋に戻ろ?」

 そう言って、彼はイルゼから手を離すと手際よく三冊の本を纏めて片手に持つ。

「じ、自分で持てます……」

 さすがに持って貰うのは悪い。そう思うが、彼はいいやと首を横に振る。

「だーから、人の厚情を軽々と打ち返さないの。イルゼはもっと甘えることを覚えなよぉ?」

 そう言われてしまえば、もう刃向かう言葉もない。しかし、甘えろとは。妙に気恥ずかしく感じてしまい、イルゼが俯きつつ頷くと「それでよし」と彼は満足そうに言うが……すぐに何か思い出したように、慌ててイルゼを見下ろす。

「それよりさぁ。俺、今日と明日が暇にな
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